日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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セイタカアワダチソウの他感作用:農業への応用を目指した成長阻害物質の放出経路、環境中での挙動、作用対象植物の検討
*小西 真梨子酒井 敦
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p. 1000

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抄録
本研究では、セイタカアワダチソウの他感作用を農業に応用する可能性を検討するため、成長阻害物質の放出経路、環境中での挙動、作用対象植物の検討を行った。放出経路について検討した結果、枯葉からの溶脱による放出は確認されたが、無傷の生葉からの揮散、あるいは根からの滲出による放出は確認されなかった。擬似降雨処理により調整した溶脱液の成長阻害活性を比較したところ、生葉や生茎の溶脱液よりも枯葉溶脱液の方が強い活性を示した。したがって、自然条件下での成長阻害物質放出経路は主として枯葉からの溶脱によるものと考えられた。枯葉溶脱液による成長阻害の程度を複数種の作物および雑草について調べたところ明らかな種間差が見られ、これを利用した選択的な雑草抑制法の開発が可能と考えられた。枯葉溶脱液を土壌に添加すると吸着や分解を受けて活性が低下することから、効果を持続するには継続的な成長阻害物質の供給が必要であることがわかった。また、生葉や茎を切断・乾燥すると、比較的高い成長阻害活性を示す溶脱液が得られることが分かった。そこで、セイタカアワダチソウ植物体地上部を風乾・切断してマルチとして使用したところ、雑草の発生を効果的に抑制することができた。事前に水抽出を行った植物体をマルチとして使用すると雑草抑制効果が低下することから、溶脱する成長阻害物質が雑草抑制効果を高めていることが推察された。
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© 2009 日本植物生理学会
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