抄録
我々は、近年の研究において、迅速かつ効率的な有用形質の探索を目的とするFOXハンティング法(完全長cDNA高発現遺伝子探索法)を開発した。本方法は、機能性を持ったmRNAやタンパク質を産生することができる完全長cDNAを用いることによって、効率的な機能付加系統の作出を可能にしたものである。結果的に13,000種類のイネ遺伝子を用いて20,000系統のイネFOXシロイヌナズナ系統を作出した。
その後、この膨大な量の変異体系統データを効率的に利用する為、これらの表現形質等の観察結果を体系的に分類し、形態、光合成能、紫外線、元素組成、ホルモン、二次代謝物、病害抵抗性、高温や塩耐性により検索できるデータベース(RIKEN RICE FOX Line Database: http://ricefox.psc.riken.jp)の開発をした。更にこのデータベース機能に加え、任意のクラスタリング法や距離計算法に則ったクラスタリング・ヒートマップの結果を提供する機能を実装した。この機能は、膨大なデータから性質的に近似の遺伝子を迅速に蒐集し、視覚的な理解を促進する上で有用であり、個別の実験計画における検討などに有効に利用できると共に、イネや他の植物研究の迅速な進展に寄与することを望むことができる。尚、本研究は文部科学省の科学技術振興調整費の支援を得て行われた。