抄録
Botryococcus brauniiは乾燥重量の50%以上にあたるオイルを細胞外に放出する淡水産微細緑藻で、再生産可能な代替エネルギー源の一つとなる可能性を秘めている。本研究ではB. brauniiのオイル生産時のEST解析をおこなった。対数増殖期のB. braunii 培養株(BOT-70)よりtotal RNAを抽出し、オリゴキャップ法で全長鎖cDNAライブラリーを作製した。cDNAライブラリーからランダムに11,904個のコロニーをとり、ベクターに挿入されたcDNAの塩基配列を決定した。その結果、独立した2,897個のcDNAを得た。これらの塩基配列をBlast Xを用いてホモロジー検索を行い、アノテーション作業をおこなった。アノテーションの結果を分類したところ細胞内シグナル 6.1 %、光合成 5 %、基礎代謝 7.6 %、構造タンパク質 3.7 %、オイル代謝 2.5 %、 タンパク質分解 3.4 %、 タンパク・RNA合成 8 %、 チャンネル様 2.5 %、 不明 61 %であった。得られたESTライブラリーには、オイル生産に関わっていると思われる遺伝子が49種類含まれていた。