日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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生殖成長期および種子成熟期における金属元素動態の解明
*高橋 美智子北島 信行福田 直樹長坂 征治保倉 明子寺田 靖子中井 泉西澤 直子
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p. S0007

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抄録
種子成熟や発芽過程において鉄や亜鉛などの微量元素は重要な役割を果たす。微量元素欠乏条件下で生育した植物や微量元素の輸送に異常がある植物では、正常な種子形成や幼植物の生育が行われない。一方で植物体内において金属元素を輸送する金属のキレーターも種子成熟過程や発芽過程に重要と考えられる。ニコチアナミン(NA)は植物に広く存在する金属のキレーターであり、植物体内の金属輸送や金属の恒常性の維持に関わる。ムギネ酸類はイネ科植物に特異的な金属のキレーターであり、NAを前駆体として合成され、イネではデオキシムギネ酸(DMA)が合成される。
本研究では、種子成熟過程および種子発芽過程における金属元素の輸送、NAおよびDMAなど金属のキレーターの役割を明らかにすることを目的とし、成熟過程および発芽過程のイネ種子および発芽過程のシロイヌナズナにおける鉄、亜鉛、マンガン、銅の分布を放射光マイクロビームを用いた蛍光X線分析により明らかにした。また、完熟種子の鉄局在部位における鉄の存在状態を調べるため、μXANESを行なった。蛍光X線分析の結果に加え、マイクロアレイ解析、プロモーターGUS解析、生理学的解析の結果に基づいて、特にイネ種子の成熟過程および発芽過程における金属元素の輸送を考察する。
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© 2009 日本植物生理学会
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