日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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重金属高集積植物体内の元素動態の追跡
*北島 信行保倉 明子寺田 靖子中井 泉
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p. S0008

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抄録
モエジマシダ(Pteris vittata L.)によるヒ素の高集積という現象は、2001年にフロリダ大学のMa博士により初めて報告されたものであり、ヒ酸カリウムを添加した土壌での栽培試験の結果として、モエジマシダが乾燥重量あたり22,000mg/kgという極めて高いヒ素集積能が示されている。
モエジマシダは、ヒ素汚染を対象としたファイトレメディエーションへの適用が期待される植物種であり、そこでは根からの重金属の吸収、地上部への移行・蓄積というプロセスを利用して浄化を行うことになる。しかし、モエジマシダにおいて、10,000mg/kgを越える高濃度でヒ素を体内に蓄積しながら胞子を形成し、生活環を完結しえる機構については未解明の点が多い。
我々は、強力なX線源となるシンクロトロン放射光のマイクロビームを用いた蛍光X線イメージングの手法によって植物体内の元素分布とその変化を測定することで、元素動態の追跡を行っている。本講演では、重金属元素の高集積という特異な現象に関連して、これまでに得られた実験結果を紹介し、植物生理分野の研究におけるマイクロXRFイメージングの有用性を示したい。
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© 2009 日本植物生理学会
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