日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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分裂組織と器官形成~器官境界部の観点から
*相田 光宏
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p. S0038

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抄録
茎頂分裂組織は植物のシュート器官形成の中心的組織であり、中央部に未分化な細胞を維持しながら周辺部から器官原基を一生にわたって繰り返し形成する。通常の発生過程において、茎頂分裂組織の形成は時間的・空間的に厳密に制御されており、その形成パターンは植物体の最終的な形態に大きく影響する。中でもシュート器官の向軸側境界部に相当する領域は腋と呼ばれ、茎頂分裂組織形成の主要な場である。シロイヌナズナのNAC型転写因子をコードする遺伝子CUC1 CUC2 CUC3 は、ほぼ全てのシュート器官の境界部で発現し、器官どうしの分離および茎頂分裂組織の形成に必須な因子である。CUC 遺伝子の作用機構を詳しく調べるために、CUC1 およびCUC2 によって発現を正に制御される下流遺伝子を複数同定して解析したところ、KNOX型転写因子STM・KNAT6や、GRAS型転写因子LASを含む複数の転写因子のコード遺伝子がCUC1の直接の転写ターゲットであることが示唆された。本シンポジウムではこれらのCUC 下流遺伝子の胚発生における機能解析について述べると共に、雌蕊の生殖器官形成における器官境界部の重要性とCUC 遺伝子が果たす役割についても紹介する。
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© 2009 日本植物生理学会
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