日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第50回日本植物生理学会年会講演要旨集
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概日時計の同期現象と時空間パターン
*福田 弘和
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p. S0050

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抄録
植物を構成しているほぼ全ての細胞は、自律した概日リズムを形成し、物質拡散などを利用して相互作用している。したがって、植物個体を自律振動する素子(振動子)が無数結合した結合振動子系と見なすことができる。結合振動子系は、システム全体を自律的に統制し、様々な時間的、空間的な秩序構造(時空間パターン)を形成するという特徴をもつ。このため、植物を結合振動子系と捉えることで、植物システムの自己統制機能について新たな知見が得られるかもしれない。
本講演では、時計遺伝子CCA1のプロモーターにルシフェラーゼ遺伝子を融合した形質転換シロイヌナズナCCA1::LUCを用いた概日時計の同期現象と時空間パターンの研究を紹介する。最近我々は、連続暗条件に置かれた切除葉において、位相波と呼ばれる細胞間のリズムの位相のズレが波として規則的に伝播する現象を観察した。この位相波は細胞間の同期現象に由来する。興味深いことにこの位相波は葉脈の部分で遅れて伝播する傾向があり、葉脈という形態情報とリンクしていることが分かった。また、我々はこの時空間パターンを結合振動子系の標準的な数理モデルで定量的に記述することに成功している。本講演では、植物システムが持つ結合振動子系という側面を数理的に取り扱う方法を紹介し、このアプローチで「植物らしさ」について何が見出せるのかを述べる。
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© 2009 日本植物生理学会
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