抄録
陸上の植物により、年間50~70ペタグラムの炭素が固定されている。一方、地球全体を見てみると、その70%は海洋に覆われている。海洋水圏には多様な微細藻類が生息し、光合成活動を行っている。しかも、その微細藻類による炭素固定量は年間45~50ペタグラムにもなり、陸上植物による炭素固定量に匹敵する。そして、その約半分、つまり、地球上の光合成生産の20~25%を担っているのが北極圏や南極圏海洋域に生息する好冷性植物プランクトンやアイスアルジーである。また、陸上植物は寒冷域では光合成が大きく抑制されるが、好冷性微細藻類は高い一次生産力を備えており、北極や南極圏の豊かな生態系を支えるほどである。私たちは、これらの好冷性植物プランクトンやアイスアルジーが低温・弱光下という環境下で如何にして効率的な光合成を行っているのかを解明するために、カナダの北極海沿岸や、北海道サロマ湖をフィールドとして、測定を行ってきた。本講演では、光環境変化に対するこれら微細藻類の応答機構にとくに注目する予定である。