抄録
腹部大動脈瘤術後に生じた吻合部感染性仮性動脈瘤に対し人工血管全抜去せず腹直筋充填を施行した. 症例は82歳男性, 腹部大動脈瘤術後4年目に人工血管末梢吻合部の仮性動脈瘤発症. 全身状態不良のため吻合部形成およびドレナージ術施行. 術中所見は左内腸骨動脈吻合部破綻でmethicillin resistant Staphylococcus aureus (MRSA) が検出された. 1年後後腹膜膿瘍として再燃. やはりハイリスクのため人工血管抜去せず, 膿瘍腔に腹直筋充填施行. 術後1年現在膿瘍の再燃を認めていない.