日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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イネスターチシンターゼ(SS)IIIa/SSIVb二重変異体を用いたSSIVbの機能解明
*豊澤 佳子伊藤 るみ子吉田 真由美中村 保典藤田 直子
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p. 0003

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抄録

イネスターチシンターゼ(SS)は10個のアイソザイムを持ち、変異体の解析からそのいくつかは機能が明らかになっている。SSIIIaは、アミロペクチンの長鎖伸長に関与する(Fujita et al., 2007)。一方SSIVbの単独変異体は、種子や澱粉粒の形態、アミロペクチンの鎖長構造等が野生型と非常に類似しているため、SSIVbの機能は不明であった。そこで、本報告ではイネSSIIIaとSSIVbの二重変異体を作出し、それらの特性を調べることでSSIVbの澱粉生合成における機能解明を試みた。
二重変異体の種子形態は両親とは異なる白濁種子だった。種子重量と澱粉含量はそれぞれ野生型の81%と、70%であった。澱粉粒の形状は野生型とは全く異なる完全球形だった。これは澱粉合成能の低下により、アミロプラスト内での充填がルーズになったためと推測される。アミロペクチン鎖長分布と、枝切り処理後の澱粉のゲルろ過解析から、二重変異体ではアミロペクチン長鎖の減少がSSIIIa欠損変異体よりも大きくなり、アミロース含量も増加していた。以上の結果よりSSIVbはSSIIIaと類似した機能を持ち、SSIVbが単独で欠損した場合にはその機能がSSIIIa等によって補われているため表現型に表れないと考えられた。

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© 2010 日本植物生理学会
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