日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

イネデンプン枝作り酵素アイソザイムの反応特性
*中村 保典内海 好規澤田 隆行相原 里美内海 稚佳子吉田 真由美北村 進一
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0006

詳細
抄録

デンプン枝作り酵素(BE)はアミロペクチンの分岐結合を形成する酵素で、デンプン合成に重要な酵素の一種である。アミロペクチンの多様な分子構造に直接影響し、デンプンの物性にも関与する。これまでの変異体や組換え体を解析した研究から、イネ胚乳にはBEI, BEIIa, BEIIbの3種類のアイソザイムがデンプン合成に関与し、それぞれ異なる機能を果たしていると考えられるが、in vitro実験で証明する必要がある。本研究では、リコンビナント精製酵素を用いて、アミロペクチンやアミロースなどの基質を用いた反応を行い、次の結果を得た。○3者のkinetic parametersを初めて決定し、それぞれ独自の数値を持つことがわかった。○BEIのアミロースに対する最低鎖長はグルコース重合度(DP)60程度であるが、BEIIa, BEIIbはともにDP100以上である。一方、分岐グルカンの場合には、BEIIでは最低鎖長はDP12で、BEIよりも短鎖によく反応する。このように分岐グルカンと直鎖グルカンではBEの最低鎖長が大きく異なっていた。○BEIIbは事実上DP7と6のみの鎖を転移するが、BEIIaはDP6-13(DP6が最大)と比較的広い範囲の鎖を転移する。BEIはDP6-15(DP10-12が最大)の鎖を転移するとともに、内部鎖にも反応する。3者のアミロペクチン合成における役割についても議論する。

著者関連情報
© 2010 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top