日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

シアノバクテリアにおけるグリコーゲン枝作り酵素および GH57 ファミリー遺伝子の機能解析
*鈴木 英治小野 峻矢西田 哲也小野田 美穂中村 保典
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0005

詳細
抄録
殆どのシアノバクテリアにおいて、貯蔵多糖グリコーゲンの合成を担う枝作り酵素(BE)は唯一存在する。Synechococcus elongatus PCC 7942 株における BE 遺伝子(Synpcc7942_1085)にスペクチノマイシン耐性遺伝子を挿入し変異導入を試みたが、不完全であった。下流方向に強いプロモーター配列を含む抗生物質耐性遺伝子カセットを用いて形質転換を行った結果、完全な遺伝子欠損株を得ることが出来た。この変異株におけるグリコーゲン蓄積量は野生株の 55% に減少し、多糖分子内の鎖長分布のピークは重合度 8 から 4 へと変化した。しかし、ザイモグラムで検出される強い BE 活性を消失してもなお分枝鎖の形成が認められたことから、未知の BE アイソフォームが存在する可能性が強く示唆された。最近、Thermococcus kodakaraensis において GH57 ファミリー遺伝子産物が BE 活性を示すことが明らかにされた。そこで S. elongatus の GH57 相同遺伝子(Synpcc7942_1889)欠損株を作製した。欠損株においては野生株と比べ、グリコーゲン量が僅かに減少するのみであった。これに対し、BE と GH57 の二重欠損株ではグルカン蓄積量が著しく減少し、生育速度も顕著に低下した。両遺伝子産物の多糖代謝における役割について考察する。
著者関連情報
© 2010 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top