日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

Synechocystis sp. PCC 6803において過酸化水素処理により誘導されるSlr1245レギュロンの解析
*緑川 貴文松本 浩二成川 礼池内 昌彦
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0013

詳細
抄録
酸素発生型光合成をおこなうシアノバクテリアでは活性酸素に対する防御が重要な環境応答の一つとなる。本研究室では酸化ストレス下におけるDNAマイクロアレイ解析をおこない、酸化ストレス応答性転写因子Slr1738や鉄硫黄クラスター生合成に関与する転写因子SufRについて報告している。これらの先行研究において、過酸化水素+強光ストレスによりsll1158 - sll1161遺伝子群の発現が強く誘導されることがしめされている。Synechocystisのゲノム上ではsll1158 - sll1161遺伝子群上流にLysR型推定転写因子Slr1245が存在しており、これが遺伝子群の発現調節をしていると予測された。そこで、slr1245遺伝子破壊株を作製し、過酸化水素ストレス応答を調べたところ、sll1158 - sll1161遺伝子群の誘導がおこらなくなった。また、Slr1245タンパク質を大腸菌で発現・精製し、in vitroにおいてsll1158上流配列と結合することを確認した。以上の結果より、Slr1245は過酸化水素ストレス下でsll1158 - sll1161遺伝子群の発現調節に寄与していることを示した。今後はSlr1245による転写活性化メカニズムを明らかにし、また、sll1158 - sll1161遺伝子群の生理的な役割を探る予定である。
著者関連情報
© 2010 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top