日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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有用シアノバクテリアArthrospira (Spirulina) platensis NIES-39のゲノム解析
*成川 礼藤澤 貴智岡本 忍得平 茂樹吉村 英尚鈴木 石根増田 建持丸 真里高市 真一粟井 光一郎関根 光雄矢代 勲小俣 せいは宝田 裕美片野 葉子小杉 大樹谷河 聡大森 和子佐藤 直樹池内 昌彦藤田 信之大森 正之
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p. 0014

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抄録

好塩・好アルカリ性螺旋状シアノバクテリアArthrospira (Spirulina) は古くから食用として、現在も健康食品などとして産業的に価値の高いシアノバクテリアである。我々はArthrospira platensis NIES-39のほぼ完全なゲノム構造を決定した。18のコンティグの並びをオプティカルマッピングにより決定し、その結果、6.8 Mbpからなる一つの環状ゲノムを持つことが分かった。配列決定できた6.7 Mbpには6630個のタンパク質遺伝子と2セットのrRNA遺伝子、40個のtRNAが検出された。78%のタンパク質遺伝子が既知の配列と相同であった。計621 kbpのゲノム領域がグループIIイントロン、ファージ様配列、ISなどの転移因子とリピート配列に対応した。ファージ様配列を介したゲノム再編成も検出された。A. platensisは、非窒素固定糸状性シアノバクテリアとしては初めてのゲノム配列となる。そこで、これまでにゲノム解読が終了しているシアノバクテリアとの比較ゲノム解析により、糸状性特異的な遺伝子を見いだした。選別された多くの機能未知遺伝子の中に、糸状性に関わる新規遺伝子の存在が期待される。また、A. platensisゲノムのユニークな特徴として、グループIイントロン、制限修飾系、cAMP情報伝達系、走化性などに関わる遺伝子について報告する予定である。

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© 2010 日本植物生理学会
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