日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

植物C/N応答制御因子ATL31によるユビキチン化標的タンパク質の解析
*佐藤 長緒前川 修吾安田 盛貴百目木 幸枝末吉 邦藤原 正幸深尾 陽一朗山口 淳二
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0018

詳細
抄録
植物は限定された生育環境において,糖(炭素源,C)と窒素(N)を効率よく利用するために,細胞内のC/Nを感知し適応する「C/N応答機構」を備えている.我々はこれまでに,シロイヌナズナを用いた遺伝学および生化学的解析から,新規ユビキチンリガーゼATL31がC/N応答制御機構の重要因子であることを明らかにした(Sato et al. Plant J, 60: 852, 2009).本研究では,ATL31によるユビキチン化標的タンパク質について検討した.
ATL31にエピトープタグを付加し,免疫沈降およびMS解析を行った結果,ユビキチン化標的候補分子として14-3-3タンパク質群が同定された.14-3-3は多くのリン酸化タンパク質に結合し,その活性を制御する分子であり,CおよびN代謝に関わる酵素群の活性制御においても重要な役割を担う.その後の解析から,in vitroおよびin vivoにおいてATL31と14-3-3タンパク質が結合すること,またATL31はin vitroにおいて14-3-3タンパク質をユビキチン化することが確認された.さらに,野生型植物体内ではC/Nストレスにより特異的な14-3-3タンパク質が蓄積し,一方でATL31過剰発現体ではその蓄積が起こらないことが示された.現在ATL31によるin vivoでの14-3-3ユビキチン化の検出等の最終的な検証を行っている.
著者関連情報
© 2010 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top