日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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ヒメツリガネゴケ二成分情報伝達系遺伝子群のゲノムワイド俯瞰と解析
*山篠 貴史山脇 沙織Satbhai Santosh B.青木 摂之水野 猛
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p. 0024

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抄録
ヒスチジンキナーゼ(HK)をシグナル受容体とする二成分制御系は植物に普遍的な情報伝達機構と考えられる。シロイヌナズナなどのモデル植物の研究からサイトカイニン応答などにおいてHKがホルモン受容体として中心的な役割を担っていることが明らかになっている。また、二成分制御系因子から派生したと思われる擬似レスポンスレギュレーター(PRR)は概日時計中心振動体因子であることも示されてきた。このように高等植物において重要な生理機能を担っている二成分制御系も進化的にはバクテリアの情報伝達系に由来していることは確かである。事実、シロイヌナズナHK(AHK2/3/4)が大腸菌細胞内でサイトカイニン受容体として機能することが示されている。したがって、二成分制御系に関してその生理機能の多様性を進化論的な視点を導入して解析することは興味深い。このような視点に立ち、今回は陸上植物の進化を考える上で重要な位置にあるヒメツリガネゴケに焦点をあて二成分制御系遺伝子群のゲノムワイド俯瞰(インフォーマティクス)を行った。高等植物に普遍的なHK遺伝子群のほぼ全てが既にコケに存在すること、加えて多数のコケ特有のHK遺伝子が存在すること,また時計関連PRR類似遺伝子も存在することなどの情報をまとめる。加えて、サイトカイニン受容体と相同なコケ遺伝子が実際にサイトカイニン受容体として機能することを明らかにした。
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© 2010 日本植物生理学会
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