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ヒスチジンキナーゼ(HK)をシグナル受容体とする二成分制御系は植物に普遍的な情報伝達機構と考えられる。事実、シロイヌナズナなどの研究からサイトカイニン応答などにおいてHKがホルモン受容体として中心的な役割を担っていることが明らかになっている。また、二成分制御系因子から派生したと思われる擬似レスポンスレギュレーター(PRR1/3/5/7/9)は概日時計中心振動体因子であることも示されてきた。これら主にシロイヌナズナの研究から得られた知見を他の植物種に普遍化し、かつ二成分制御系の機能的多様性を理解することは、植物生理学の進展にとって必須のステップと考えられる。例えば、マメ科植物ではその特徴である根粒形成にサイトカイニン受容体HKが関与していることが示されている。
このような視点に立ち、今回は世界の穀類生産の1/3を占めるマメ科植物に焦点をあてた二成分制御系の解析を行った。具体的には、マメ科植物のモデルとしてゲノム情報の豊富なミヤコグサに関して二成分制御系遺伝子群と概日時計関連遺伝子群のゲノムワイド俯瞰(インフォーマティクス)を行ったのでその詳細な情報を提供する。また、幾つかの重要な点に関してはミヤコグサを用いた実験を行うことで情報を補強したので併せて報告する。