日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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浮イネ遺伝子Snorkel以外の新規の浮イネ性制御遺伝子の遺伝学的解析
*永井 啓祐服部 洋子古川 静佳足立 啓太鈴木 健介芦苅 基行
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p. 0030

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抄録

通常の栽培イネは浅水で生育し深水状態では呼吸ができず溺死するのに対し、浮イネは水位の上昇に伴い節間伸長を行うことで呼吸を確保し深水状態でも生存できる。これまでに浮イネ性に関するQTL解析が行われた結果、第1、第3及び第12染色体に座乗する3つのQTLが検出され、このうち最も強い効果を示した第12染色体QTLの原因遺伝子がエチレンのシグナル伝達に関連する新規の転写因子Snorkel1及びSnorkel2であることを同定した。しかし、非浮イネ品種が急激な浮イネ性を獲得するためにはSnorkelの導入だけでは不十分であり、その他のQTLとの相互作用が不可欠である。本研究では浮イネにおける節間伸長メカニズムの全容解明を最終的な目的とし、Snorkel以外の浮イネ性制御遺伝子を単離するために、準同質遺伝子系統(NIL)及び複数のQTL領域を保持したピラミディング系統を用いて、それぞれのQTLが節間伸長に及ぼす効果を調べた。さらに、この結果をもとに第1、第3染色体QTLの原因遺伝子を同定するために高精度連鎖解析を行った。また、これまでに検出された3つのQTL以外の新規の因子を同定するために、浮イネ品種C9285と非浮イネ品種T65に3つのQTL領域を導入した系統NIL1-3-12との交雑F2集団を用いてQTL解析を行った。以上のことから、浮イネにおける節間伸長メカニズムの全容解明を試みる。

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© 2010 日本植物生理学会
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