日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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浮イネ関連遺伝子SNORKELと下流因子に関する解析
*服部 洋子永井 啓祐古川 静佳芦苅 基行
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p. 0031

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抄録

タイやカンボジア、バングラデシュなどの東南アジアや南アジアでは、毎年雨季になると大規模かつ長期間にわたる洪水が起こる。このような地域では、通常栽培されている作物は水没し溺死してしまう。一方、浮イネは水位の上昇にあわせて節間伸長をすることで草丈を急激に伸ばし草丈を常に水面上に出すことが可能となる。その結果、浮きイネは水面上に出た葉を利用して呼吸や光合成に必要なガス交換を行うことができるので、溺死することなく生存するという特殊な機構を持っている。この浮イネが示す洪水回避機構、すなわち節間伸長制御機構の解明は、深水条件下での節間伸長機構の解明だけでなく植物における不良環境への適応に対して新たな知見をもたらすと考えられる。本研究では、最近単離された浮イネ関連遺伝子、SNORKEL1SK1)およびSNORKEL2SK2)について機能解析を行った。
単離されたSK1, SK2は、AP2/ERF 転写因子群のうち、ERF sub-familyに分類される遺伝子群(ERFs)に含まれることが明らかとなった。ERFsはエチレンシグナル伝達経路上において、EIN3によって転写が誘導され、その後エチレン応答性遺伝子の発現を制御することが知られている。本発表では、SK遺伝子の下流因子について報告する。

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© 2010 日本植物生理学会
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