日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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テッポウユリ花粉プロトプラストによる植物アクアポリンの機能解析
山田 佳史梁田 健一松澤 篤史田中 一朗*塩田 肇
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p. 0035

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抄録

アクアポリンは、水チャネルを構成して生体膜を介した水の移動を促進する。一般に、アクアポリンの水透過活性の解析には、アフリカツメガエル卵母細胞が用いられる。我々は、花粉プロトプラストを利用して、植物アクアポリンの水透過活性の解析を試みた。テッポウユリ(Lilium longiflorum)花粉からは、直径が約95 μmで均一性の高いプロトプラストが単離された。花粉で高い活性を示すZm13プロモーターのもとで、原形質膜アクアポリン(PIP)をコードするシロイヌナズナAtPIP1;1AtPIP2;1、ニンジンDcPIP1;1DcPIP2;1が発現するようにプラスミドを構築した。これらのプラスミドのPCR増幅断片を、エレクトロポレーション法で花粉プロトプラストに導入し、低張液(350 mMマニトール)中での体積の増加を観察した。AtPIP2;1あるいはDcPIP2;1を導入した場合は、ベクターコントロールに比べて高い体積増加が見られた。一方、AtPIP1;1あるいはDcPIP1;1を導入した場合は、ベクターコントロールと同程度の体積増加が見られた。これらの結果から、植物細胞においてもPIP2は単独で高い水透過活性を示すが、PIP1は単独では水透過活性を示さないことが明らかになった。このように、テッポウユリ花粉プロトプラストは、簡易なアクアポリン活性測定システムとして利用できる。

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© 2010 日本植物生理学会
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