抄録
私たちはこれまでに、シロイヌナズナ培養細胞の道管要素への分化転換を同調的に誘導する実験系を確立し、これを用いたマイクロアレイ解析により道管要素分化誘導過程において発現が変動する遺伝子を同定した。さらに、これらの中で、NACドメイン転写因子をコードするVASCULAR-RELARED NAC-DOMAIN7 (VND7)が道管分化のマスター因子であることをすでに明らかにしている。本研究ではVND7の発現制御に関わる転写因子を同定するために、道管要素分化過程でVND7と同調して発現が上昇する転写因子に着目し、VND7プロモーター:ルシフェラーゼをレポーターとしたパーティクルボンバードメントによるトランジェント解析を行った。その結果、VND7を含む7種のVNDファミリー遺伝子すべてがVND7の発現を正に制御することが明らかとなった。また、VND以外58種の転写因子について解析を行ったところ、VND7の発現を正に制御する複数の転写因子を同定した。これらにはすでに報告されているASL18/LBD30, ASL20/LBD18 が含まれていた。現在、これら同定した転写因子の詳細な機能解析を進めており、その結果についても報告したい。