日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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Arabidopsis trithorax 遺伝子群によるFLOWERING LOCUS C のエピジェネティックな転写活性化機構の解明
*玉田 洋介Yun Jae-YoungWoo Seung chulKang Ye Eun増田 典子Amasino Richard M.
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p. 0054

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抄録
冬季一年生シロイヌナズナにおける開花の春化要求性は、FRIGIDA (FRI) による花成抑制因子FLOWERING LOCUS C (FLC) の転写活性化によって確立されている。FRIによるFLCの転写活性化にはヒストンH3の4番目のリシン残基 (H3K4) のメチル化が不可欠である。多くの多細胞生物種において、H3K4のメチル化は出芽酵母Set1が属するクラスとショウジョウバエTrithorax (Trx) が属するクラスの2つのクラスのタンパク質によって触媒される。我々は、Set1クラスに属するARABIDOPSIS TRITHORAX-RELATED7 (ATXR7) がFLC遺伝子座におけるH3K4のメチル化に機能することを明らかにした。まず、atxr7突然変異体は冬季一年生シロイヌナズナにおいて早咲きの表現型を示した。さらに、atxr7突然変異体において、FLCの発現低下とFLC遺伝子座におけるH3K4メチル化量の低下を観察した。Trx クラスに属するATX1の機能破壊株も早咲きの表現型を示すことが知られていたため、我々はatx1 atxr7二重突然変異体を作出した。その結果、二重突然変異体はそれぞれの単一突然変異体を足し合わせた強い表現型を示した。以上の結果から、Set1とTrx両方のクラスのH3K4メチル化酵素がFLCの転写活性化に必須であることを明らかにした。
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© 2010 日本植物生理学会
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