日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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トリコテセン産生菌Fusarium sporotrichioidesに対して病害抵抗性因子として機能するArabidopsis thalianaの新規MAPKKKの機能解析
*浅野 智哉水野 宏美山田 桂子山口 和男西内 巧
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p. 0079

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抄録
Fusarium sporotrichioidesによって産生されるトリコテセン系カビ毒は、エリシター活性及び細胞死誘導活性を持ち、トリコテセンの1種であるT-2 toxinによってMPK3及びMPK6が活性化されることを明らかにしている。一方で、T-2 toxinによる防御応答制御因子としてAtNFXL1を同定しており、さらに、AtNFXL1タンパク質複合体の構成因子の一つとして、新規MAPKKKであるMKD1を同定している。MKD1タンパク質の構造は、病害抵抗性に関与することが示唆されているEDR1に似ていた。mkd1変異体は、野生型に比べてFusarium sporotrichioides に対する病害抵抗性が低下し、そしてT-2 toxinの蓄積量も増加していた。次に、MKD1の標的MAPKKを同定するために、シロイヌナズナの全てのMAPKKについて、酵母two-hybrid解析を行った。その結果、MKD1は3種類のMAPKKと相互作用することが示唆され、さらにそれらの中で2種類のMAPKKがMKD1によって直接リン酸化することを明らかにした。また、mkd1変異体においてMPK3とMPK6の活性が約半分に減少していた。これらのことから、MKD1はFusarium に対して病害抵抗性因子として機能する因子であることが示唆された。
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© 2010 日本植物生理学会
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