日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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植物免疫抑制因子NSL2の相互作用タンパク質の探索と解析
*浅田 裕高橋 和馬田中 莉夏子勝又 邦明山本 宏子上中 弘典長根 智洋田中 亮一田中 歩山口 淳二
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p. 0078

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抄録
植物の免疫活性化は、防御関連遺伝子の発現のみならず細胞死を伴うことがある。この細胞死には、病原体の全身感染を抑制する働きがあり戦略的細胞死と考えられている。このような細胞死形質を恒常的に示すシロイヌナズナ突然変異体nsl2necrotic spotted lesion 2; cad1を改名)を単離した。NSL2はMACPと呼ばれる、ヒトの補体やパーフォリンなど免疫機構を担うタンパク質に保存されているドメインを有しており、ヒトとシロイヌナズナの免疫機構の共通性が示唆された(Plant Cell Physiol. 2005, 46: 902-912)。
NSL2と相互作用するタンパク質の探索の結果、NAP1nonintrinsic ABC protein 1)が同定された。NAP1はヒトにはホモログが確認されておらず、また、葉緑体に局在することが報告されているため、NSL2が植物特有の機能を有していることが示唆された。NAP1の欠損変異体とnsl2との二重変異体では、防御応答遺伝子の減少や、細胞死の部分的な抑制が確認された。本大会では、この二重変異体の表現型解析の進捗状況について報告する。
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© 2010 日本植物生理学会
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