日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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病原菌エフェクタータンパク質の立体構造解析
*八丈野 孝Li Hua門田 康弘瀧澤 香大沢 登寺田 貴帆半田 徳子小柴 生造渡部 暁白水 美香子横山 茂之木川 隆則Kamoun Sophien白須 賢
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p. 0081

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抄録

病原菌はエフェクタータンパク質を植物の細胞内に多数注入し、抵抗性反応を撹乱し抑制する。それに対して、ある植物はエフェクターを認識し、より強い抵抗性反応を誘導し防御する。このような植物-病原菌相互作用に関与する遺伝子は数多く単離されているが、エフェクターとそれを認識する抵抗性タンパク質(Rタンパク質)の作用機作およびそのシグナル伝達様式はあまりわかっていない。特にエフェクターについてはアミノ酸配列からその機能を推測できないことが多く、抵抗性反応を抑制するメカニズムを解析することは困難である。そこで、エフェクターとRタンパク質の作用機作およびエフェクターの抵抗性抑制メカニズムを分子レベルで明らかにすることを目的として、タンパク質の立体構造解析を行った。立体構造解析にはタンパク質の可溶性が不可欠であるため、可溶化条件の改善が可能な無細胞タンパク質発現系をベースにしたハイスループット発現系を用いて、約260種類のエフェクターおよび抵抗性関連タンパク質をスクリーニングした。その結果、約90種のタンパク質が可溶性として得られた。さらに我々は、ジャガイモ疫病菌由来のエフェクターの立体構造解析に成功した。本発表では、このエフェクターの立体構造とそこから見えてきた機能について報告する。

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© 2010 日本植物生理学会
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