日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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イネにおいてOsRBCS multigene familyの個別発現抑制は葉身Rubisco量を減少させる
*小川 瞬鈴木 雄二中林 香吉澤 隆一牧野 周
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p. 0136

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抄録
光合成の炭酸固定酵素RubiscoはC3植物の成熟葉において最も多いタンパク質である。Rubiscoは、核ゲノムのRBCSにコードされる小サブユニットおよび、葉緑体ゲノムのRBCLにコードされる大サブユニット、それぞれ8つずつからなる計16量体である。このうちRBCSは高等植物においてmultigene familyを形成していることが知られているが、その役割は未だ明らかではない。そこで本研究では、イネ (Oryza sativa L.) においてRBCS各分子種のRubiscoタンパクの生合成への貢献度を調査することとした。イネにおいてはOsRBCS1から5の5分子種のRBCSが存在するが、葉身で主に発現しているのはOsRBCS2から5であったため、これら4分子種をRNAi 法によって個別に発現抑制した形質転換体を作製し、葉身Rubisco量を測定した。形質転換当代において、葉身Rubisco量はOsRBCS2から5の個別発現抑制により、それぞれ野生型と比べて35%、25%、16%、32%減少していた。また、これらの系統において発現抑制した分子種のmRNA量は、それ以外の分子種の発現量には大きな影響を与えることなく著しく減少していた。これらの結果から、イネにおいてはOsRBCS2から5の全ての分子種がRubisco生合成に寄与しており、それらは互いに相補されないことが示唆された。
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© 2010 日本植物生理学会
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