日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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OsRBCS3を発現抑制したイネの大気CO2分圧下での個体成長
*菅野 圭一鈴木 雄二小川 瞬吉澤 隆一牧野 周
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p. 0137

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抄録
Rubiscoは、光飽和および現在の大気CO2分圧下での光合成の律速因子であり、C3植物の葉における最大の窒素の投資先である。しかし、高CO2分圧下では光合成速度がRubisco以外の因子に律速され、Rubisco量は光合成全体のバランスの中で過剰になることが明らかにされている。そこで本研究ではイネにおいて葉のRubisco量を適量化し、他の光合成因子へのN分配を増加させることで、高CO2分圧下での光合成および個体成育の窒素利用効率を高めることを目的とした。RNAi法によってRBCS multigene familyを個別に発現抑制したイネを作製したところ、OsRBCS3を発現抑制した当代においてRubisco量が野生型の70%となった形質転換体が2系統得られた。このT1世代を用い、はじめに現在の大気条件下での個体成長を経時的に調査した。草丈、葉齢、分蘗数には、野生型との間に有意差はみられなかったものの、播種後70日目の乾物重は形質転換体で小さかった。これは栽培期間の後半にあたる播種後42-70日目の間の相対成長率が形質転換体で低下したためであり、その理由は播種後42-70日目の間の純同化率の低下であった。よって、OsRBCS3発現抑制イネは大気条件下での成育時に、形態はほとんど変化しないがバイオマス生産量は減少することが分かった。 現在、高CO2分圧下での個体成育を解析中である。
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© 2010 日本植物生理学会
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