抄録
葉は茎頂メリステムから発生し、三つの軸、すなわち基部先端部軸・向背軸・中央側方軸に沿って成長する、扁平で左右相称的な器官である。シロイヌナズナのasymmetric leaves1 (as1)とas2変異体はこの三つの軸すべてに異常を示し、左右非対称的な葉身の切れ込みや上偏成長、弱い背軸側化、基部先端部軸方向の成長抑制が認められる。我々はこれまでに、マイクロアレイとクラスタリング解析からAS1とAS2がBP、ETT、YAB5を抑制していることを明らかにした。さらにAS1とAS2は、class 1 KNOXやETTに機能欠損変異があってもBP、ETT、YAB5を抑制することを報告した。今回、YAB5の機能欠損変異体を得たのでその解析結果を報告する。yab5、as1 yab5、as2 yab5におけるBP、ETTの発現レベルをreal-time PCRによって調べた結果、YAB5に変異があってもAS1とAS2はBPとETTを抑制しているという結果を得た。これらの結果はAS1とAS2が独立の経路でBP、ETT、YAB5を抑制していることを示している。変異体の表現型を調べたところ、yab5変異はas1やas2の葉の表現型異常に大きな影響を及ぼさなかった。YAB5の過剰発現植物を作成したところ、葉身の向背軸異常が認められた。これらの結果もあわせて報告したい。