日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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キャピラリー電気泳動/四重極-飛行時間型質量分析装置(Capillary Electropheresis-Electrospray-Quadrepole Time Of Flight mass spectrometry; CE-ESI-QTOF)を用いたシロイヌナズナのメタボローム解析
*姉川 彩大西 美輪七條 千津子深木 英弘三村 徹郎
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p. 0175

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抄録
質量分析装置の技術躍進に伴って、生体内のタンパク質、あるいはアミノ酸や有機酸などの低分子化合物を網羅的に分析し、新たな知見を見いだそうとする「プロテオーム」や「メタボローム」が進められている。
現在、メタボローム解析に用いられている技術は、アサイメントの容易さやデータベースの充実性から、ガスクロマトグラフィー質量分析装置(GC-MS)や液体クロマトグラフィー質量分析装置(LC-MS)が主流になっている。
本研究では、植物体内に含まれる多くの物質がイオン性物質であることに着目し、CE-ESI-QTOFを用いて、アミノ酸や有機酸、リン酸化合物などの一次代謝物質、さらには、内生量の極めて少ない植物生理活性物質を部位ごとに分析し、定量的に一斉解析することを目的とした。
ポジティブモード分析によるノンターゲット解析では、地上部で548、根で603のピークが確認され、地上部で25種類、根で23種類のアミノ酸やヌクレオシドが同定された。一方、ネガティブモード分析によるノンターゲット解析では、地上部で199、根で214のピークが確認された。そのうち、代表的な一次代謝物質をターゲット解析した結果、地上部で7種類、根で10種類の有機酸やリン酸化合物が同定された。さらには、植物ホルモンの一つであるインドール-3-酢酸 (IAA)も、これらの代謝物質と同時に解析できるようになった。
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© 2010 日本植物生理学会
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