日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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植物細胞におけるゴルジ体ダイナミクスの解析
*伊藤 容子植村 知博庄田 恵子藤本 優上田 貴志中野 明彦
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p. 0213

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抄録
ゴルジ体は、真核生物の細胞において、新規に合成されたタンパク質を小胞体から受け取り、糖鎖修飾を施した後、いくつもの細胞内輸送経路へと仕分けして送り出す、いわば配送センターとしての役割を担う重要なオルガネラである。一般的に扁平な袋状の膜(槽)が複数重なった構造(層板構造)をとることが知られており、哺乳類の細胞ではこのゴルジ層板が微小管によって中心体付近に集められ、互いにつながり合って巨大なリボン状構造をとる。これに対して植物細胞では、個々のゴルジ体が独立して細胞質中に散在し、その動きはアクチン繊維に依存していることが知られている。本研究では、この植物のゴルジ体の動態をライブイメージングによって詳細に解析するため、光変換タンパク質Dendra2によりゴルジ体を可視化し、光変換を起こしたゴルジ体と光変換を起こしていないゴルジ体との相互作用の観察を行った。その結果、ゴルジ体同士で物質のやりとりが行われていることが示唆された。また、GFPやmRFPでゴルジ体を可視化したシロイヌナズナでは,細胞内に非常に小さいながら層板構造を持ったゴルジ体が存在することがわかった。我々はこれを新しく生まれたばかりのゴルジ体ではないかと考え、現在解析を行っている。本大会では,植物細胞におけるゴルジ体のシス槽とトランス槽のそれぞれに着目したダイナミクスとbiogenesisについて議論したい。
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© 2010 日本植物生理学会
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