日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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ペルオキシソームタンパク質輸送に関与するシロイヌナズナAPM9遺伝子の解析
*後藤 志野真野 昌二中森 ちひろ西村 幹夫
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p. 0212

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抄録
ペルオキシソームは真確細胞に普遍的に存在するオルガネラである。高等植物のペルオキシソームは脂肪酸の代謝や活性酸素種の除去といった動物にも共通した機能に加え、植物ホルモンの生合成、光呼吸といった代謝系を担う重要なオルガネラであり、その機能は外的環境の変化や植物組織によって転換し得る柔軟性を備えている。ミトコンドリアや葉緑体とは異なりペルオキシソームは独自のゲノムをもたず、ペルオキシソームの機能、形態維持に必要な遺伝情報は全て核にコードされている。そのため、サイトゾルからペルオキシソームへの新生タンパク質の輸送は、ペルオキシソームの柔軟な機能制御において重要な機構である。我々は、ペルオキシソームの形態形成を制御する因子を明らかにするために、ペルオキシソーム可視化形質転換体を用いたスクリーニングを行い、種々のaberrant peroxisome morphologyapm)変異体を単離してきた。このうちのひとつ、apm9変異体はペルオキシソームへのタンパク質輸送に異常を示す変異体として単離され、原因遺伝子の同定によりAPM9遺伝子は植物ゲノムにのみ保存された機能未知遺伝子であることが明らかとなった。今回はAPM9タンパク質の機能解析を通して示唆された、高等植物におけるペルオキシソームタンパク質輸送機構の仕組みについて報告したい。
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© 2010 日本植物生理学会
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