抄録
細胞内膜交通を担うオルガネラの一種であるトランスゴルジ網(trans-Golgi network, TGN)は,植物細胞内においてはエキソサイトーシス経路に加え,エンドサイトーシス経路でも機能する可能性が示唆されている。しかしながら,植物のTGNに関するこれまでの研究では,TGNとエンドサイトーシスの関係は間接的に言及されているに過ぎない。TGNがエンドサイトーシスにおいて果たす役割を証明するためには,実際にエンドサイトーシス経路の可視化を行うことが必要である。そこで,本研究では,細胞膜の受容体である FLAGELLIN SENSITIVE2 (FLS2) をマーカーとして利用し,エンドサイトーシスの観察を行った。まず,リサイクリングエンドソームとTGNに局在すると報告されているRab11を用いて,TGNとエンドサイトーシス経路との関係について解析を行った。続いて,Rabのなかでその機能が最も明らかになっているRab5を用い,TGNを経由するエンドサイトーシスと,Rab5が局在するエンドソームとの関係について解析を行ったのでその結果を報告する。