日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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細胞核の形状に異常を示すシロイヌナズナ変異体の解析
*後藤 千恵子田村 謙太郎西村 いくこ
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p. 0218

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抄録
真核生物において核と細胞質を分断する核膜は、細胞核の構造形成や機能発現において重要な役割を果たす。しかし、植物では、核膜を構成する膜タンパク質やその裏打ち構造についての知見が乏しい。高等植物における細胞核形成の分子機構を知るために、核の形状が異常になったシロイヌナズナの変異体kakuを複数系統選抜することを目指した。最初に核を可視化するために、核膜孔構成タンパク質とGFPとの融合タンパク質を過剰発現する形質転換体を作成した。この形質転換体の種子をEMS処理し、得られたM2個体を用いて蛍光顕微鏡下で核の形状が異常になった変異体を探索した。野生型の核と比較して、kaku変異体では球状に変形したものや、より細長くなったものが観察された。核が球状化かつ小型化したkaku2変異体においてマップベースドクローニングを行ったところ、LINC1遺伝子に塩基置換変異が見つかった。LINC1は核周縁部に局在するコイルドコイルタンパク質で、その欠損変異体の核は球状化かつ小型化することが既に報告されており、核形成に重要な骨格タンパク質であると予測される (Dittmer et al. 2007、2008)。kaku2を含む変異体の解析結果を報告する。
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© 2010 日本植物生理学会
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