日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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オイルボディを介した炭疽病菌に対する侵入後抵抗性機構
*島田 貴士高野 義孝深尾 陽一朗嶋田 知生西村 いくこ
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p. 0219

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抄録
植物脂質は生体膜成分としてだけでなく,種子の貯蔵物質,ストレス応答におけるシグナル分子,菌に対する防御物質として,植物にとって重要な生理機能を担っている.オイルボディはリン脂質単層に包まれた特殊なオルガネラであり,中性脂肪やステロールを中心とした植物脂質を貯蔵している.オイルボディは種子,葯,葉など,様々な器官に蓄積する.葉型オイルボディはサイトゾルに存在し,葉緑体内に存在するプラストグロビュールとは異なる.葉型オイルボディは老化や菌感染といった様々なストレスにより蓄積量が増える.アブラナ科野菜類炭疽病菌(Colletotrichum higginsianum)は,シロイヌナズナを含むアブラナ科植物を宿主とする病原菌である.興味深いことに,アブラナ科野菜類炭疽病菌をシロイヌナズナに感染させると,病斑の周辺部で葉型オイルボディ関連タンパク質の発現が誘導されることがわかった.さらに葉型オイルボディ関連タンパク質がアブラナ科野菜類炭疽病菌に対する抵抗性反応に寄与していることが示唆された.このことから,葉型オイルボディや葉型オイルボディ関連タンパク質が,病斑周辺部において菌の拡大を防いでいることが考えられた.オイルボディを介した菌の侵入後抵抗性について考察する.
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© 2010 日本植物生理学会
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