抄録
ERボディはシロイヌナズナ幼植物体の表皮細胞に見られる小胞体由来のオルガネラであり,耐虫性,耐病性に関与すると考えられている.ERボディ形成には,転写制御因子NAI1と,ERボディに局在するNAI2が必要である(1,2).NAI1はNAI2とERボディの主要な成分であるβグルコシダーゼ,PYK10の発現を制御している.私たちは,ERボディを持たないタマネギにシロイヌナズナのPYK10やNAI2遺伝子を導入し,ERボディを形成するかを調べ,PYK10とNAI2を同時に発現させるとERボディがされることを見いだした.このことから,ERボディ形成はPYK10とNAI2の発現で十分であることが明らかになった.nai1変異体を用いたトランスクリプトーム解析から,ERボディの膜タンパク質,MEB1,MEB2を見いだした.タマネギにGFP-MEB2を導入すると小胞体に局在するが,ERボディ作らせたタマネギにGFP-MEB2を導入するとERボディに局在する.このことから,NAI2とPYK10はERボディの形成とMEB2のERボディ膜への局在を制御していることが明らかになった.
(1) Matsushima et al., (2004) Plant Cell. 16, 1536-1549.
(2) Yamada et al., (2008) Plant Cell. 20, 2529-2540.