日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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CYP71AV1とそのホモログタンパク質の機能比較
*小森 彩關 光鈴木 宗典西澤 具子村中 俊哉
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p. 0229

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抄録
アジア原産のヨモギ属植物Artemisia annuaは、抗マラリア薬として利用されるセスキテルペノイド、アルテミシニンを産生する。A. annuaから、アルテミシニン合成関連遺伝子として、アモルファ-4,11-ジエン合成酵素(ADS)遺伝子、アモルファ-4,11-ジエンからアルコールを経てアルテミシニン酸を生成するシトクロームP450(CYP71AV1)遺伝子が既に単離されている。我々はまず、アルテミシニン非産生ヨモギ属植物2種において、ADS相同遺伝子は発現しないものの、CYP71AV1と94%以上のアミノ酸相同性を示すホモログ(CYP71AV1ホモログ)が発現していることを明らかにした。そこで、ADSとCYP71AV1ホモログを酵母で同時発現させ、アモルファ-4,11-ジエンを基質としたCYP71AV1とこれらホモログの酵素機能の比較を行った。
酵母培養液の酢酸エチル抽出物をGC-MSを用いて分析した結果、ADS/CYP71AV1ホモログ同時発現酵母から、セスキテルペン様アルコール物質が検出された。この物質は、ADS/CYP71AV1同時発現酵母ならびにCYP71AV1ホモログのみの発現酵母からは検出されなかった。このことから、CYP71AV1ホモログはアモルファ-4,11-ジエンを基質とし得るが、CYP71AV1とは異なる部位の酸化を触媒することが示唆された。
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© 2010 日本植物生理学会
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