日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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植物に特徴的なピリジンヌクレオチドサイクルと関連二次代謝物質の生合成
*芦原 坦片平 理子松井 亜友殷 玉玲長井 千文Stasolla Claudio
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p. 0230

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抄録
植物におけるNADとその関連物質の代謝の多様性について40種以上の植物を用いて検討した.植物では、NADはアスパラギン酸を開始物質とするde novo経路により合成され,分解産物として生じたニコチンアミドは、植物に特有なnicotinamidaseによりニコチン酸になりサルベージされる.NADの分解と再合成は,ピリジンヌクレオチドサイクル(PNC)によるが,植物には,動物には存在しないPNCVIIが働いている.これ以外に,演者らにより存在が確認されたNaR kinaseや,NR deaminaseによるバイパス経路も存在する.植物では,PNC由来のニコチン酸から,トリゴネリン(TG)かニコチン酸グルコシド(NaG)が必ず作られる.どちらの物質がつくられるかは,植物種,器官により異なる.植物界では、TGをつくる種の方が多く、特にマメ科植物やコーヒーでは多量のTGが種子に見られた。TG蓄積植物では,TGは、PNC 経由ではなく,de novo経路由来のニコチン酸から生産される可能性が高い.NaGは,ジャガイモ塊茎,アラビドプシス、カノーラなどのアブラナ科植物などで合成が認められた.これらニコチン酸抱合体の生理学的意義についても考察する.
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© 2010 日本植物生理学会
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