2001 年 9 巻 p. 41-51
本研究の目的は、訪問看護婦の職務満足とサービス利用者の顧客満足間の多軸的な関連性について実証的に検討することである。K県I保健所管内の訪問看護サービスに従事する訪問看護婦とその利用者を対象として調査を行った。内容妥当性に基づき探索的に設定した訪問看護利用者の各顧客満足領域を目的変数とし、訪問看護婦の各職務満足領域を説明変数とするステップワイズ法による重回帰分析を行った。その結果、「訪問看護サービスの総合評価」に対して有意な影響をおよぼしていたのは、訪問看護婦の「利用者との関係」に対する職務満足度であった。訪問看護婦が利用者やその介護者との良好な関係が保たれ利用者の持つニーズに十分な時聞や労力を投入できると認識していることが、利用者の総合的な顧客満足に影響をおよぼすことが示唆された。訪問看護業務は、病院医療における看護業務と比較して、利用者やその介護者との良好な関係基盤に強く顧客満足が影響されるという特徴を持っていると考えられる。