日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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ミヤコグサのアントシアニン・縮合型タンニン蓄積を制御する転写因子
*小澤 友香加藤 謙之今泉 隆次郎島村 昌幸佐藤 修正田畑 哲之由田 和津子作田 正明綾部 真一青木 俊夫
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p. 0235

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抄録
縮合型タンニン(CT)はアントシアニン生合成の中間体であるフラバン-3,4-ジオールとその誘導体フラバン-3-オール(カテキン類)の重合体で、抗菌作用や昆虫に対する防御作用、食品成分として健康増進に役立つなど、様々な生理活性が注目されている。発表者らはCT生合成調節機構の解明を目的として、アントシアニンとCTがともに欠失しているマメ科モデル植物ミヤコグサ(Lotus japonicus)のviridicaulis1vic1)およびvic2変異体を解析している。昨年の本大会ではVIC1がbHLH型転写因子をコードすることを発表した。今回、vic2遺伝子のポジショナルクローニングを行い候補遺伝子の塩基配列を調べたところ、WD40リピートタンパク質をコードするシロイヌナズナのTTG1オルソログの354番目の塩基にナンセンス変異が見つかり、翻訳産物のWD40リピートドメインが欠失していることが推定された。野生型遺伝子を用いてvic2の相補実験を行ったところ、アントシアニンとCTの蓄積が確認された。リアルタイムPCRによる発現解析の結果、vic1およびvic2変異体ではジヒドロフラボノール4-還元酵素とアントシアニジン合成酵素をコードする遺伝子の転写物レベルが大きく低下し、相補株では回復しており、VIC1とVIC2がこれら酵素遺伝子の調節因子であることがわかった。
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© 2010 日本植物生理学会
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