日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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海岸と内陸に分布する数種の植物のフラボノイドの質的量的変動
*岩科 司瀬戸口 浩彰村井 良徳
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p. 0237

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抄録
ハマヒルガオ(Calystegia soldanella)、ハマゴウ(Vitex rotundifolia)、ハマエンドウ(Lathyrus japonicus)などは本来、海岸に生育している植物であるが、淡水の琵琶湖にも隔離的に自生している。海岸は海水や強い紫外線のような環境ストレスに絶えずさらされている場所でもある。このような環境条件にある植物にとって、どのように各種ストレスに対処するかは生育の大きな要因となっている。植物がフラボノイドのような抗酸化能の強い成分を合成することによって、このような環境に適応している例はいくつか報告されている。本研究では、ハマヒルガオ、ハマゴウ、ハマエンドウなどを材料として、異なる環境条件下に生育する集団間で、含有するフラボノイドが質的あるいは量的に変化しているかを調査した。その結果、これらの植物はそれぞれ多様なフラボノイドを有していることが明らかとなった。このうちハマヒルガオでは、フラボノイドは質的に変化がなかったが、量的には変異が生じていた。すなわち、海岸のものではQuercetin型のフラボノイドがKaempferol型に対して約4.5-10.5倍も含まれていたのに対して、琵琶湖のものでは0.8-1.8倍程度しか含まれていなかった。またハマゴウにおいては質量ともに変化がなく、ハマエンドウでは明らかに質的に変化していることが判明した。
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© 2010 日本植物生理学会
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