日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

NPH3様タンパク質MAB4およびMELはPINタンパク質の局在を制御する
*古谷 将彦吉田 周平阪本 展仁田坂 昌生
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0255

詳細
抄録
植物ホルモンであるオーキシンは、オーキシン極性輸送とよばれる細胞間輸送システムによりその生合成部位から方向性をもって輸送され、組織および器官内に偏差的な分布を形成する。オーキシン極性輸送には、オーキシン排出担体であるPIN-FORMED (PIN)タンパク質が細胞膜上で極性をもって局在し、その極性が細胞間で揃うことが重要であると考えられている。しかし、PINタンパク質の細胞内極性形成機構および細胞間の配向制御機構について、未だほとんど明らかにされていない。そこで、我々はオーキシン極性輸送に関与するNPH3様タンパク質MAB4およびその類似タンパク質MAB4/ENP-LIKE (MEL)に着目し、その機能解析を行った。まず、器官形成に重篤な欠損を示すmab4 mel1 mel2三重変異体および根の重力屈性に異常を示すmel1 mel2 mel3 mel4四重変異体において、PINタンパク質の局在解析を行った。いずれの変異体においても、細胞膜上のPINタンパク質の存在量の減少とともに極性の減衰が見られた。また、MAB4およびMELタンパク質は細胞膜近傍で極性をもって局在化し、その極性はPINタンパク質のものとほぼ同等であった。これらのことから、MAB4およびMELはPINタンパク質の局在を調節することで器官形成および根の重力屈性を制御していることが示唆された。
著者関連情報
© 2010 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top