日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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補償作用を示すfugu2変異体において発現変動する遺伝子群の葉の形成における役割
*久永 哲也Ferjani Ali堀口 吾朗藤倉 潮石川 直子出村 拓福田 裕穂塚谷 裕一
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p. 0259

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抄録
シロイヌナズナの葉において、何らかの遺伝的変異によって細胞増殖能が低下すると、細胞数の減少を補うかのように細胞伸長が昂進し、葉に含まれる細胞が大型化する現象が知られている。この現象は補償作用と呼ばれている。補償作用は器官レベルでのサイズ制御機構の存在を示唆しており、この現象を解明することの意義は大きい。我々はこれまでに、補償作用を示すfugu変異体を5系統単離し、解析してきた。今回はfugu2を用いた逆遺伝学的解析について報告する。補償作用の分子機構の解明を目的としてマイクロアレイ解析を行ったところ、fugu2の葉においては、46遺伝子の発現が誘導され、39遺伝子の発現が抑制されていることが明らかとなった。これら85遺伝子の葉の発生における機能を解析するために、それぞれの遺伝子のT-DNA挿入系統を取得し、ホモライン化を進めている。これまでに27系統のホモラインを単離し、その葉の表現型を細胞レベルで解析した。その結果、fugu2同様に、葉に含まれる細胞の数が減少する系統を複数見出した。またこれとは逆に、葉に含まれる細胞の数が増加している系統も見出された。現在、これらの遺伝子の補償作用における機能を解析するために、T-DNA挿入系統とfugu2との二重変異体を作出し、その葉の表現型を解析中である。本発表ではこれらの結果を統合し、fugu2における補償作用の分子機構について議論したい。
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© 2010 日本植物生理学会
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