日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

シロイヌナズナにおける花粉管誘引物質の同定とその機能
*武内 秀憲東山 哲也
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0261

詳細
抄録
被子植物が受精を行うためには、花粉管が雌しべの中を伸長して胚嚢に到達しなければならない。花粉管を胚嚢まで誘導する一連の仕組みを花粉管ガイダンスというが、その分子的実体の多くは未だに明らかでない。このような中、当研究室のトレニアを用いた研究により、助細胞に由来し、培地上で花粉管を誘引するcysteine-rich peptides (CRPs; LURE1, LURE2) がトレニアの誘引物質として同定された。
本研究は、シロイヌナズナにおいて花粉管誘引物質を同定し、雌しべの中での機能を解析することを目的としている。これまでに、シロイヌナズナの胚嚢で発現する遺伝子の情報やLUREsの配列情報をもとに誘引物質を探索し、有力な候補遺伝子群を得た。これらの候補に対してsemi in vitro系を用いた誘引アッセイを行ったところ、花粉管を誘引することが示された。また、発現抑制実験により、これらが胚珠の珠孔部における精確なガイダンスに重要な役割を果たしていることも明らかにした。既知の花粉管ガイダンス変異体との関連や、ゲノム中での誘引物質の動的な変化についての考察も交えて紹介したい。
著者関連情報
© 2010 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top