日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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花粉管誘引物質LUREsの受容体の同定に向けて
*奥田 哲弘佐々木 成江金岡 雅浩東山 哲也
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p. 0262

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抄録
被子植物の受精において,助細胞から分泌される花粉管誘引物質は,花粉管が正確に胚嚢へ到達するのに最も重要な鍵因子である.これまでに我々は,トレニアの単離助細胞を用いたEST解析により,システイン残基に富み分泌性の低分子量タンパク質と予測されるTfCRPsを多数同定した.そして,助細胞特異的に発現するTfCRP1, TfCRP3に花粉管誘引活性があることを明らかにし,それぞれをLURE1, LURE2と名付けた(Okuda, Tsutsui et al., Nature, 2009).
誘引物質LUREsが明らかとなり,花粉管ガイダンスを分子レベルで直接的に解析することが可能となったことから,LUREsの作用機序の解明や,その受容体の分子的実体に興味が持たれる.本研究は,花粉管がいかにしてLUREsを受容するかを明らかにするために,花粉管側の受容体を同定することを目指している.まず,精製LURE2を花粉管に与え,花粉管のどの領域に結合するかを解析した.また,抗LURE2抗体を用いたウェスタンブロット解析により,LURE2と直接相互作用する花粉管タンパク質の存在を示唆する結果を得た.LURE1とLURE2では誘引される花粉管の挙動が異なることから,その受容体が異なる可能性が考えられる.各LUREをリガンドに用いた,生化学的手法による受容体の解析について紹介したい.
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© 2010 日本植物生理学会
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