日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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MYB98::GFP可視スクリーニングにより見出された雄性配偶子変異体G21
*笠原 竜四郎榊原 卓浜村 有希東山 哲也
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p. 0264

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抄録
被子植物の生殖において、雌雄の両配偶体が相互作用することによって種子形成に至るまでの過程は、形態学的な観察により明らかにされてきている。雌雄配偶体の各細胞の機能的な知見は広がってきているとはいえ、どのような遺伝子産物がこの配偶体の相互作用に関与しているのかという分子生物学的な知見はほとんど存在しなかった。しかし笠原ら(Plant Cell, 2005)によってMYB98遺伝子が同定され、雌雄配偶体のインタラクションを分子レベルで理解するためのスタートラインが築かれた。MYB98の発見以来、花粉管ガイダンスの分子生物学的なアプローチが世界的に行われるようになったが、現在演者らは雌雄配偶体の発生や機能に関わる遺伝子のスクリーニングを行っている。スクリーニングには助細胞で強く発現するMYB98::GFPのラインを使用しT-DNAを変異原として変異体を得る順遺伝学的手法を用いている。このスクリーニングでは、胚嚢が形成された後の受精過程に異常のある変異体も単離することができる。実際このスクリーニングにより雌雄配偶体のインタラクションに非常に重要であると考えられる変異体、G21を獲得することが出来た。G21変異体は野生型で2つ形成されるはずの精細胞が1つしか形成されない雄性配偶子の変異体であることが分かった。今回はこの変異体について議論すると共に、今後のストラテジーについてもお話したい。
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© 2010 日本植物生理学会
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