日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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極核融合においてBiPは異なる2つの過程で機能する
*丸山 大輔山本 雅也遠藤 斗志也西川 周一
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p. 0266

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抄録
雌性配偶体の中央細胞は2個の極核をもつ.シロイヌナズナなどでは雌性配偶体の形成過程で極核が融合して二次核をする.われわれはこの過程、中でも核膜融合の過程が、小胞体のHsp70であるBiPの機能を必要とすることを明らかにしてきた.Hsp40ファミリーのタンパク質は、Hsp70の機能発現に必須の役割をはたす制御因子である.われわれは、シロイヌナズナの小胞体に存在する可溶性のHsp40ファミリータンパク質として、AtP58IPK,AtERdj3A、 AtERdj3Bを同定している.これらを単独に欠失した株や、AtERdj3AとAtERdj3Bをともに欠失した株は極核融合の欠損を示さなかったが,AtERdj3AとAtP58IPK3a p58)またはAtERdj3BとAtP58IPK3b p58)をともに欠失した株は、極核融合に欠損を示した.雌性配偶体の電子顕微鏡解析の結果,3a p58の胚珠では2つの極核が外膜においても融合していないが,3b p58の胚珠では2つの極核の外膜同士が小胞体膜を介してつながっているが,内膜は融合していないことが示された.この結果は,BiPは極核融合において、外膜融合と内膜融合それぞれの過程で異なるセットのHsp40をパートナーとして利用していることを示唆している.
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© 2010 日本植物生理学会
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