抄録
シロイヌナズナの概日時計は時計関連遺伝子群の24時間周期の転写フィードバックで成り立つと考えられている。疑似レスポンスレギュレーター「PSEUDO―RESPONSE REGULATOR(PRR)」は生物時計に関連した機能を持つ事が示唆させているが、PRRの分子機能は不明であった。
今回私たちは、PRR9、PRR7、PRR5タンパク質がCIRCADIAN CLOCK―ASSOCIATED1(CCA1)とLATE ELONGATED HYPOCOTYL (LHY)遺伝子の転写抑制因子であることを報告したい。グルココルチコイドで機能誘導されるPRR5―GRは直接的にCCA1とLHYの発現を抑制した。さらにシロイヌナズナの一過的遺伝子発現系によって、PRR9、PRR7、PRR5のCCA1とLHYのプロモーター活性に対する抑制効果が発見され、PRR9、PRR7、PRR5の転写抑制モチーフも同定された。またクロマチン免疫沈降法により、PRR9、PRR7、PRR5は植物体内でCCA1とLHYのプロモーター上に存在することが分かった。これらPRRがCCA1とLHYプロモーターに存在している時間帯と、CCA1とLHYが発現抑制される時間帯は一致(午前から夜半)していた。以上の結果とprr多重変異体などの解析を踏まえて、PRR9、PRR7、PRR5の時計機構での働きを考察したい。