日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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カラマツ(Larix leptlepis)における花芽形成関連遺伝子の発現解析
*渡辺 智美織部 雄一朗佐々木 文夫佐藤 かんな片山 義博梶田 真也
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p. 0275

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抄録
本研究で用いるカラマツは北半球に広く生育し、成長が非常に速く、土地要求性の低い優れた樹種である。そのため、これら有用形質をさらに活用し、資源として利用しやすい、新しい樹種の育種が試みられている。しかし、カラマツの着花は不定期で、従来の着花促進技術の効果も低いため、計画的な交配が困難である。カラマツでは毎年花が咲く変異体、「本間FL」が知られており、この変異体と野生型個体との比較解析から、カラマツ花芽形成機構の解明と新しい着花促進技術の開発が可能になると考えられる。本研究は、形態学的手法が主流であったカラマツ花芽形成の研究に対し、分子生物学的手法を用い、花芽形成遺伝子の機能を上記2系統間で比較する事により、花芽形成機構の一端を明らかにすることを目指した。
まず、本研究は他の植物種の研究結果から、花芽形成に大きな影響を与えると予想される遺伝子として、FLOWERING LOCUS T (FT)、LEAFYNEEDLYCONSTANS に注目し、これらに関して、定期的にサンプリングした組織(葉、枝)ごとに半定量的RT-PCR、リアルタイムPCRによる解析を行った。その結果、FT遺伝子の発現には2系統間に有意な差が認められた。現在、変異体のつぼみ切片を作成し、花器官の形態的変化と花芽形成遺伝子の発現との相関を調べている。
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© 2010 日本植物生理学会
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