日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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キクの光周性花成誘導反応における赤色光・青色光の役割
*樋口 洋平小田 篤住友 克彦久松 完
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p. 0277

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抄録
短日要求性植物であるキクの花成誘導反応は、限界日長以下の短日処理によって誘導され、反対に長日処理や短日暗期中の光中断 (NB)によって著しく阻害される。キクの花成誘導反応における光シグナルの役割を明らかにするため、様々な光質および光周期条件下における花成反応を調査した。主明期に白色光を用いた場合のNBに有効な波長域を解析したところ、赤色光が最も抑制効果が強く、青色光や遠赤色光はほとんど抑制効果を示さず、光質によるNB効果の違いが認められた。このことから、フィトクロムを介した赤色光シグナルが光中断による花成抑制において主要な役割を果たしていることが示唆された。また、赤色、青色および赤色+青色光をそれぞれ光源に用い、短日(12L/12D)、長日(16L/8D)、連続明、NB処理における花成反応を調査したところ、光質による日長反応の差はみられず、短日条件でのみ花芽分化が認められた。さらに、主明期の光質の違いによる青色光NB効果の相違に着目して解析した結果、主明期が青色光のみの場合と比較して、主明期に赤色光を加えた場合には青色光によるNB効果が抑制されることを見いだした。これら条件下における花成関連遺伝子の発現解析結果をふまえ、キクの花成誘導における光シグナルの役割について考察する。
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© 2010 日本植物生理学会
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