日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第51回日本植物生理学会年会要旨集
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乾燥、低温、塩ストレスおよびABA処理時におけるシロイヌナズナsmall RNAの網羅的探索
*松井 章浩神沼 英里諸沢 妙子中嶋 舞子豊田 哲郎篠崎 一雄関 原明
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p. 0283

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抄録
small RNAは20-25塩基の非翻訳性小分子RNAであり、miRNA、siRNA、ta-siRNAの3種のRNAの存在が知られている。そのうちmiRNAとta-siRNAは配列相同性を持つターゲットmRNAの切断に関与し、繰り返し配列から生成されるsiRNAは自身の配列あるいは相同配列を持つターゲットDNA領域の転写抑制に関与する。これまでの研究によって、環境ストレスに対して幾つかのmiRNAが遺伝子発現を制御することが報告されてきた。一方で、その他のsmall RNAがストレス条件下でどのように働いているか知られていない。私たちは、454 DNAシークエンサーを用いて、乾燥・低温・塩ストレスやABA処理下で発現するsmall RNAを大量に解読し下記の知見を得た。1)新規なストレス応答性のsmall RNAを12種同定した。2)乾燥、塩やABA処理によってta-siRNAの前駆体の発現が減少し、その結果ta-siRNAの生成量も減少していた。ta-siRNAの中には葉の形態形成に関与するものが存在することから、環境ストレス下での植物の形態形成の制御にta-siRNAの関与が示唆された。3)ストレス条件下ではメチル化されたトランスポゾン領域からsiRNAが大量に生成していた。以上の結果から、ストレス条件下での様々なsmall RNAの急速な発現変化が明らかとなった。
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© 2010 日本植物生理学会
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